スペインらしい出来事

お久しぶりに、スペインぽい話でも。


これは、ある日、私の友人家で起こった事件です。



彼の家は、家族で経営しているホテル兼レストラン。


彼がホテルの受付当番をしてたある日曜のこと。
夕方になって一人の女性がやってきました。


でも、その女性ちょっと様子がおかしい。


予約したものです。


と言われたものの、その女性は血の気のない顔で、数秒も経たないうちに、涙をポロポロと。。

どうかしましたか?
と聞いてみると、

実は、ドイツからこちらに来る途中のバスの中に大事な薬の袋を忘れてきたようで。

それは大変だ。
どのバス会社ですか?問い合わせましょう。

そういうと、

もう何度も聞いてみたんですが、見つからなかったんです。

そうなんですか。
一応問い合わせてみましょう。
ちなみに、どんな薬なんですか?

お医者さんに処方してもらっている薬で、
ちゃんと決まった時間に飲まないと病気が再発してしまうかもしれないんです。私、死んでしまうかもしれない(涙)


え”!?(友達)


ここで、どうやらなぜ彼女がそんなに泣いているのか分かったようで。

友人は、まず2人でバス会社のオフィスに行くことに。

1時間以上待って、それでも見つかりませんでした。

帰りの飛行機を変更して、もう帰るしかないのかしら。。でもどちらにしても今夜飲む薬もない(涙)

そう、だんだん弱ってきた女性に、

薬の名前、分かりますか?
薬局に行ってみましょう。

そう言った友人。
彼女を元気付けながら、車に乗せて、今度は薬局へ。

彼の街は小さな街なので、
薬局にはいつものおばちゃん薬剤師さんがいました。

薬手帳(は別に持っていたそうで)を薬剤師さんに渡し、3日分(滞在分)下さい。

と、友人がドイツのその女性のために頼みました。

が、薬剤師のおばちゃんは、手帳を見るなり、しかめっ面。

これは。。。無理よ。
お医者さんの処方が必要よ。

日曜のスペインは、薬局が開いてる間に、すぐにお医者さんに行き処方せんをもらえるほど簡単ではありません。。

どうしても、必要なんです。お願いします!(友人)

でも、それは違法行為になってしまうから。。(薬剤師)

それでも、友人は食い下がりました。

この人、ドイツからうちの街に来るためにスペインにやってきたそうです。
そのくすりがなければ、病気が再発して、死に至る可能性だってあるそうです。


ということで、


あなたが薬剤師さんの立場ならどうしますか??
ちょっと考えてみてください。







ちなみに、スペインで起きた友人が居合わせたパターンはこうでした。



あら!そんなに重たい症状なんですか?
どうしましょ。
お父さ〜ん!(と、奥にいた旦那さんを呼んだ薬剤師さん)


旦那さんも、話に関わると、


それは大変だ!!

持って行きなさい!!3日分だけだけど!これで大丈夫かね??


ということで、
ドイツの女性はそのまま3日の旅を問題なく続けることができました。


実はそれは3年前の話で、
それから、毎年、彼女は友人のホテルに泊まりに来て、薬を売ってくれた薬局夫婦のところにも、顔を出しにいってるそうです。


めでたし。めでたし。(完)





さて、この話、

めでたしじゃないでしょ。
と思った人。

薬、違法で売っちゃいかんでしょ。
と思った人。

そもそも、日曜日もお医者さん、薬局営業しないから、そーゆーことが起こるんだ。
と思った人。


私たちは、日本人ですね。ほほほ。



ルールを重んじるところ。またルールやシステムを整備しようとするところが、私たち日本人ぽい。


でも、私たちは、こーゆー状況での判断が上手くできない。


私たちは、ルールを外れる、イレギュラーな事態での個人的な判断が不得意ですよね。


一方で、スペインの皆の判断の仕方を、あえて言葉にすると、


エイ、ヤー 判断。まさしく(笑)



最初は、その、
エイ、ヤー判断 が イライラするわけです(笑)

何にも後のこと考えてないくせに〜!!!

とか思うわけです。


でも、
慣れると、病みつきになったりするんです。
そして、この国は、それでも回っている(笑)


この国は50年前くらいの日本みたいだ。(生きたことないけど)
だから、なぜか妙に、羨ましいんだ。



おしまい